特に家を留守にしがちな大型連休は、例年空き巣の被害が増える傾向にあります。
ここでは、侵入犯の手口や住まいの防犯対策をご紹介。被害が出る前にまず予防から。
今一度、“我が家の防犯”について家族みんなで考えてみましょう。

「うちは大丈夫」という過信は捨てるべし。これが泥棒の実態!

表1は、警察庁が発表している平成15年~19年までの、住宅及び事務所等の侵入窃盗の認知件数の推移を表したグラフです。 平成19年では、175,728件(うち住宅被害が106,700件)となっており、住宅被害についてみてみると、全国で1日に約292件もの家が泥棒の被害に遭っている計算になります。ただ、この「認知件数」とはあくまでも被害を警察に届け出た件数。「盗まれたものも無さそうだし…」「面倒だから…」と届け出られなかった件数は含んでいないので、実際にはこれよりももっと多くの被害が発生していると思われます。

表2は、同じく警察庁発表による、平成20年上半期の一戸建住宅の窃盗犯の侵入口です。一番多いのは窓。全体の約61%を占めています。戸建住宅には、掃き出し窓、腰高窓、高窓等々…実に様々な窓があり、これらの窓が格好の狙い目になっているのです。さらに窓からの侵入手段を見てみると、一番多いのが“ガラス破り”(約62%)、次に多いのが、意外にも“施錠せず”(約27%)でした。防犯対策をする上で「窓」が重要なポイントになってくることがわかります。

狙われない、侵入されない家にするためのPOINT

「侵入に際してどれ位の時間がかかれば侵入をあきらめるか」という調査結果によると、2分が約20%、2~5分が約50%、5~10分が約20%となっています。つまり、侵入口の防犯設備が10分以上持ちこたえることができれば被害に遭う確率も減るということです。泥棒が侵入をあきらめる「侵入するのに時間がかかる」防犯設備が効果的。 次の住宅の部位ごとの防犯上の注意点とポイントを参考に、泥棒にとって“手ごわい”住まいを実現しましょう!

[窓]最も侵入口として狙われやすい窓。ガラス破りを防ぐための対策を。
防犯フィルム
施工しやすいA3サイズがオススメ。狙われやすいクレセントまわりに貼り付けると、ガラスを割るのに時間がかかる。
補助錠
ホームセンターなどでも購入でき、安価で取り付けも簡単。設置位置は、窓を施錠するつまみからなるべく離れたところや窓枠の上部が適している。
防犯ガラス
2枚の板ガラスの間に強靭なフィルムを挟んだ構造。“打ち破り”や“こじ破り”に強く、高い防犯性がある。
その他
面格子、電動シャッター、窓用センサーなどを設置するのもよい。
[玄関・勝手口]防犯性の高いドアにすることが基本。補助錠や錠まわりの隙間を覆うガードプレートを取り付けると効果的。
サムターンカバー
サムターン回しを防ぐ保護カバー。既設ドアのサムターンにも簡単に取り付けられる。
ディンプルキー
キーをなくした際にも錠を取り替えず対応できるキーチェンジシステムが採用された高性能キー。
その他
侵入者をセンサー光で検知しフラッシュ光で警告するフラッシュライトや、留守中の訪問者の録画・録音機能が付いたモニター付インターホンを付けるのもよい。
[庭・外構]建物周辺の見通しをよくし、敷地内に簡単に侵入できないようにするのがポイント。
乗り越え検知システム
境界を越える侵入者を検知し、音と光で威嚇。フェンスや塀など、住宅の境界部分に簡単に取り付けできる。
防犯砂利
歩くと音のする砂利を駐車スペースや犬走りに敷くのも効果的。近年、光触媒効果のある素材を用いた砂利なども登場している。

環境から始める防犯対策

近年、家そのものだけでなく、地域や街ぐるみで防犯性をUPさせる試み・活動も増えています。

防犯を考えた街づくり
街並みを美しくすることは、防犯性の向上にも役立ちます。街並み形成でのポイントは、プライバシーは守りつつも、住民の目が互いによく届く“オープンな視界”が確保できること。近年、独自の「街並み協定」が制定されている団地も増えています。
地域の防犯活動
環境から始める防犯対策泥棒が侵入をあきらめた理由の調査結果からも、「近所の人に声を掛けられた、ジロジロ見られた」等、「人の目」が犯罪の未然防止に効果的であることがわかっています。 普段から地域住民が連携をして不審者情報等を共有できるようにしておきたいものですが、防犯パトロールなどの活動もさることながら、もっと簡単でかつ効果もあるといわれているのが声掛け。この「声掛け」は挨拶でじゅうぶんなので、近隣同士のコミュニケーションのためにも、犯罪の未然防止のためにも、積極的に挨拶をしていきましょう。
  • ●住居は、隣の建物のベランダなどから伝い渡れないように配置する。
  • ●隣地との境界には高い塀ではなく低めの生垣などを設ける。またエクステリアもオープンなものにし前面道路から宅地によく目が届くようにする。
  • ●団地内の道路は広めに確保し、死角ができないようにする。
  • ●地域住民の交流の場、憩いの場となる公園を設ける。公園自体が死角にならないよう、周辺住宅、道路からも視界がよく通るつくりとする。

家を建てる前に 土地選びから始める防犯対策

マイホームを建てる前に、まず土地を選ぶという重要な作業があります。土地選びの条件として、「子どもの通学区が変わらない」「通勤・通学がしやすい」「文教地区だから」「周辺にスーパーなどが揃っていて便利」などがよく挙げられますが、物騒な最近は「安全性の高い地域」というのも土地選びの重要なポイントとなりつつあります。候補地の治安状況については、事前に町内の方などに聞いておくとよいでしょう。 また、各都道府県警のHPで、どの地区でどれくらいの犯罪が発生しているのかがわかる「犯罪発生マップ」が公開されていますので、各地域の犯罪発生状況の把握に利用してみてはいかがでしょうか。 岡山県警察「くらしの安全 WebMap」