01 地震に強い家、弱い家

現在の建築基準法を守って建てられた家であれば、関東大震災クラスの揺れでもまず倒れることはありません。震度6~7の揺れでも倒れないというのが、建築基準法での決まりなのです。しかし、構造や条件によっては例外も…。

古い木造住宅

“古い”というのを具体的に表すと昭和55年以前。旧建築基準法が適応されていたので、建築基準が震度5までの揺れに対応と、現在の建築基準(震度6~7の揺れに対応)に比べかなり劣っているのです。旧建築基準法が適応されていた昭和55年までに建てられた木造住宅のうち、約85%が大地震(M7以上)の際は倒壊の危険があると言われています。
また、古い木造住宅はふき土のある瓦ぶき屋根で重量が重かったり、壁に筋かいがなかったり、もしくはあっても量的に留め付けが不十分だったりで、阪神大震災でも大量に倒壊しました。主な被害要因としては老朽化による耐力の低下や、外壁の剥落による水平抵抗力の低下などが挙げられます。

昭和55年に作られた一般的な木造住宅の一例
壁
横からの地震力に不安
柱・梁
固定金具を使っていないと接合部に不安
基礎
建物を支えられるかどうかが不安
震度階級
震度5弱 食器や本が落ち、窓ガラスが割れることがある。
震度5強 重い家具や自販機が倒れることがある。多くの人が行動に支障を感じる。
震度6弱 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。立っていることが困難になる。
震度6強 立っていることができない。戸が外れて飛ぶことがある。ブロック塀が崩れる。
震度7 耐震性の高い建物でも傾いたり、大きく破損することがある。
地割れ、山崩れ、建物の倒壊が多発する。

地盤の弱いところに建つ住宅

山地や丘陵地は地震により土砂崩れやよう壁の崩壊が起こる可能性があり、建物が流されたり押しつぶされる危険が考えられます。このような被害は建物の補強で防ぐことは無理なので、頑丈なよう壁を作ったり、基礎の段階からしっかり作る必要があります。地盤が弱いと遠くで起こった地震でも揺れが大きくなってしまい、さらに被害が拡大してしまいます。

壁のバランスが悪い住宅

店鋪併用住宅で一階部分が通りに面して開口していたり、ガレージを宅内に入れ込んだ住宅は、一階部分の壁量が少なく、壁配置が偏っているため危険です。建築基準法で耐力壁の最低値は決まっていますが、配置バランスが悪ければその数値を守っても、倒壊や変形という形が考えられます。特に建物の南側は採光のため窓等が多くなりがちで、偏った配置となりやすいので注意しましょう。また、吹き抜けは好ましくありませんが、設ける場合は、その部分にしっかりと補強しましょう。

形が不均一な住宅

建物の形が凸凹していると、地震の力が弱い部分に集中してしまいます。特に二階が一階よりせり出した住宅は、十分な補強を行わないと大きな被害となる恐れがあります。二階の柱や壁を一階の柱や壁に乗せるような配置にしましょう。

その他、次のような点に気をつけましょう。
○床や屋根には合板を張り詰めたりして、全体が歪まないようにする。
○雨水や湿気による腐敗や、害虫による被害の対策を行う。

建物は地盤や基礎など、骨格がしっかりしていることを重視しましょう。
内装にお金をかけるのも良いですが、地盤改良や骨組みを丈夫にする工事費をおろそかにしてはいけません。 いくら凝った家を建てても、倒壊してしまっては元も子もないのです。