03 今すぐできる地震対策

宮崎県北部地震の負傷者の内訳

大地震時に出る多数の負傷者。実は、その多くが家具類の転倒や落下物、ガラスの破片によるものなのです。特に震度6強の強い揺れを伴う地震では、負傷者の約5割がそれらの原因によるという、非常に高い数値になっています。
平成15年に起こった宮城県北部地震でも、負傷者の半数が家具類の転倒や落下物によるものでした。家が倒壊しなくても、命にかかわる危機は残っているのです。

家具の転倒

ものにはすべて“重心”があり、その位置は幅や奥行き、高さ、重量によって決まります。一般に重心が低いほど倒れにくいと言われていますが、造り付けでない床に置いただけの家具は、建物の構造や階数など部屋の状況によって倒れやすさも変わってきます。
また、転倒以外にも家具の動きはさまざまあります。洋ダンスや冷蔵庫のように背の高い家具は、揺れながら前後に移動をしたり(ロッキング移動と呼ばれ、通路などを防いでしまいます)、揺れによって壁や他の家具にぶつかって被害を引き起こしたり、積み重ねた家具や置き物が落下したり…。家具が動くことにより、戸や引き出しが開いて中のものが散乱すること等も考えられます。

対策:家具は固定しよう

造り付けの家具以外は固定をした方が、地震時には絶対安全。いきなりすべての家具を固定するのが難しければ、危険度の高いもの(大きなタンス等)や壊れたら困るもの、普段自分が生活している部屋のものから手をつけましょう。また、大きく揺れても動かないようにするには、大きな力が必要で、特に家具の上部で支える場合は、重量の二分の一以上という力が必要となってきます。

金具で固定する

金具とネジを使って、柱や壁に 固定する方法。
家具に傷をつけないような器具も 販売されています。

家具と天井とを固定する

ばねの入った棒を家具と天井の間に挟んで固定する方法。
家具から天井までの間があまり広くない場合に適しています。
家具の前方でなく、壁よりの後方に固定すると効果が上がります。

家具に傾斜をつける

床が固く、家具が壁側にある場合に効果的。
若干傾ける形で、手前に器具を差し込みます。

家具同士を細かく固定

積み重ね家具の場合は、裏面や側面の継ぎ目部分に 粘着テープを貼るか、
もしくは補強金具で固定すると良いです。家具以外にも、額縁や置き物、掛け時計など
落ちると危険なものはあらかじめ留め具で留めておくと安心です。

ガラスの飛散

破片はそのまま凶器に

地震の振動で直接窓ガラス等が割れることはもちろん、落下物や家具が転倒する際に当たって割れることもあります。割れるとき近くにいて破片を浴びてしまうのも危険ですが、床に散乱して逃げ道を塞いだり、踏んで怪我をしたりと二次被害も懸念されます。

対策:飛散防止フィルムやテープを貼ろう

窓ガラスや飾り棚のガラス戸には飛散防止フィルムやテープを貼っておきましょう。ビニールテープや布粘着テープなどで、幅が5cm以上あるものが効果的です。

家具を固定したり、ガラスにフィルムを貼ったりといった対策を取るだけでも、あなたの命を救うことにつながります。いつどこで大地震が発生してもおかしくない地震大国・日本。空き巣のように、備えていれば来る心配が減るものではありませんが、起きてしまってからではどうしようもありません。命にかかわるこの問題。一度じっくり、住まいを点検してみてください。

資料提供/トヨタホーム岡山株式会社 積水ハウス株式会社